足関節捻挫

症状・原因

足関節捻挫とは、足首の内側にひねった際に外側の靭帯に負荷がかかり損傷した状態です。
足首の捻挫はスポーツ外傷の中で最も頻度が高く、サッカーやバスケットボール、バレーボールなどのスポーツ活動中に起こったり、段差の昇降時に足首をひねるなど日常生活の中でも起こります。また、足関節捻挫は50~70%と高い再発率があり、捻挫を繰り返してしまうことで慢性足関節不安定症(CAI)に進行する場合もあります。 内側にひねった(内反捻挫)場合は、外くるぶしが痛み、外側にひねった(外反捻挫)場合は、内くるぶしが痛みます。

診断・検査

足関節捻挫の診断は、症状の重さによって違います。症状の重さは以下の通りです。

  • Ⅰ度:前距腓靭帯の部分損傷
  • Ⅱ度:前距腓靭帯の完全損傷
  • Ⅲ度:前距腓靭帯、踵腓靭帯の完全損傷

治療方法

足関節捻挫の治療は、症状の重さによって変わります。上記のⅠ度、Ⅱ度では、安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)のアルファベット表記から頭文字をとったR.I.C.E処置を行います。Ⅲ度のねんざの場合は、R.I.C.E処置を行ったうえで2~3週間の安静が必要になります。多くの場合はサポーター等での固定ですが、手術が必要な場合もあります。

アキレス腱断裂

症状・原因

アキレス腱断裂とは、踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作でふくらはぎの筋肉とかかとの筋肉をつないでいる腱が断裂した状態です。ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋) が急激に収縮した時や、ジャンプの着地などで急激に筋肉が伸ばされた際に発生します。受傷時には、「ふくらはぎをバットやラケットでたたかれた」ような衝撃を感じることが多く、歩行が可能でもつま先立ちはできなくなるのが特徴です。30~50歳のスポーツ愛好家に多く、バドミントン、バレーボール、テニス、サッカーを行っている際の受傷が多いです。コレステロール値の高い人やステロイド薬を使用している人も腱が変性しやすいため注意が必要です。

診断・検査

アキレス腱断裂の診断は、受傷時の様子を問診で確認するとともに触診で確かめます。うつ伏せで膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを握ると通常は足首が底屈しますが、アキレス腱が断裂している場合は足首が底屈しません。

治療方法

アキレス腱断裂の治療は、ギプスなどの装具で患部を固定し患部を融合させる保存療法と、直接縫い合わせる手術療法があります。

肉離れ

症状・原因

肉離れとは、筋肉の一部分が断裂した状態のことです。ダッシュする時のように、急激な筋肉の収縮により発症します。太もも裏の筋肉(ハムストリング)やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)などによく発症します。肉離れを起こす際は断裂音が聞こえることもあり、「ビキッ、バチン」などの音が鳴ります。また、痛みや腫れ、内出血などの症状が起こります。

診断・検査

肉離れの診断は、問診に合わせてレントゲン撮影などで画像検査も併せて行う場合が主です。肉離れなのか、剥離骨折なのか、症状の程度はどうか、を確認します。ストレッチ痛(ストレッチした時の痛み)の有無、程度で重症度の評価を行いますが、MRI検査が必要となる事もあります。

治療方法

肉離れの治療は、まず受傷時に重症度に関係なく安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)のアルファベット表記から頭文字をとったR.I.C.E処置を行います。受診後は、重症度により安静、痛み止め、塗り薬、シップ薬などで保存的治療を行います。痛みが強い場合は荷重歩行を制限し、松葉杖を使用することもあります。急性期を過ぎれば徐々にストレッチ等のリハビリテーションを開始します。また、予防や再発防止のため筋肉の柔軟性を上げるストレッチは欠かさず行うことが大切です。

外反母趾

症状・原因

外反母趾とは、足指の変形で第1趾(足の親指・母趾)の付け根の関節が「くの字」のように第2趾の方に曲がったものをいいます。第1趾の付け根の関節が靴に当たり炎症を起こして、ひどくなると靴を履いていなくても痛むようになります。1番の原因は合わない靴を履くことです。指に負荷がかかり続け変形し、変形により突出した部分が靴に当たることで痛みが発生します。

診断・検査

外反母趾の診断は、変形が見た目で明らかで痛みが日常生活に支障をきたす場合に診断されます。またレントゲン撮影にて外反母趾の程度を評価します。

治療方法

外反母趾の治療は、軽度の場合は親指の付け根にフィットして指先はゆったりとした履物を履く・足の指を開く(グー・チョキ・パー)のような外反母趾体操を日々行う、矯正器具装着など進行予防が優先されます。変形が進んでいる場合は手術により変形を矯正するのが一般的です。

アキレス腱炎

症状・原因

アキレス腱炎とは、ふくらはぎの筋肉の腱に当たるアキレス腱に炎症が生じた状態をいいます。長時間のウォーキングや長距離を走ったりすることでアキレス腱に対して負荷が繰り返しかかることが原因とされています。ただ、日常生活のみしか行っていないにも関わらずアキレス腱炎になる方もいます。痛みはアキレス腱の中央部である足首付近やアキレス腱が野辺に付着している部分であるかかと上部に発生することが多いです。

診断・検査

アキレス腱炎の診断は、症状の確認と画像検査で行われます。
症状として多いのは以下です。

  • 運動をしているときにかかと付近が痛い
  • 歩き初めにかかとが痛い
  • アキレス腱が腫れている

さらに詳しい検査をご希望の方は、関係医療機関への紹介も行っております。

治療方法

アキレス腱炎の治療は、軽症の場合は安静にすること、痛み止めやシップ薬などで治癒する場合がほとんどです。重症の場合は手術が必要となることもあります。

アキレス腱付着部症

症状・原因

アキレス腱付着部症とは、アキレス腱とかかとの骨との付着部に変性を生じ痛みがある状態をいいます。かかとの後方部分に皮膚に発赤、腫脹、痛みが出現します。
アキレス腱付着部は歩いたり走ったりするたびにアキレス腱によって繰り返し牽引力が加わり炎症を起こすと痛みが出現します。仕事やスポーツによる使い過ぎや筋肉の柔軟性低下、合わない靴などが考えられます。病状が進行するとかかと部分の骨が変形しとげのように突出する場合があります。

診断・検査

アキレス腱付着部症の診断は、症状の問診と画像検査により行われます。症状としては、アキレス腱付着部やその周辺を押したりつまんだりした際に痛みがある、階段の昇降や歩行でアキレス腱付着部に痛みが発生するなどがあります、また、かかとの骨の骨折やアキレス腱断裂ではないことも加味して診断されます。

治療方法

アキレス腱付着部症の治療は、柔軟性を高めるストレッチや痛み止めの処方などといった保存療法が優先的に行われますが、重症の場合は腱や骨の変性した部分を取り除く手術療法がおこなわれます。

足底腱(筋)膜炎

症状・原因

足底腱(筋)膜炎とは、朝、起床して最初の1歩目にかかとや足底部に痛みを感じます。
足底腱(筋)膜はかかとから足趾のつけねにつながっている分厚い組織で足の裏のクッションの役割があります。長時間の立ち仕事、歩行、体重増加、スポーツ(ランニングやジャンプなど)により足底腱(筋)膜とかかとの付着部に強い牽引力や衝撃が加わり続けることで炎症が起こると痛みが出現します。40~60歳で最も症状が起こりやすく、バレエダンスやランニングを日常的に行っている場合にも起こりやすいです。肥満の場合も足裏にかかる負担が多きなるため発症しやすいです。

診断・検査

足底腱(筋)膜炎の診断は、足底腱膜がかかとの骨に付着する部分に圧痛があるか確認します。また、レントゲンによる画像検査でかかとの骨の状態を観察しとげ状の突起があった場合にも診断されます。

治療方法

足底腱(筋)膜炎の治療は、まずは日常的に改善可能な部分から行います。歩行時の負担を軽減するために歩幅を小刻みにし、裸足での歩行は避けます。また、ジョギングは控え肥満の場合は減量します。ふくらはぎや足のストレッチは治癒に有効です。それでも痛みが引かない場合や症状が重い場合は手術を行う場合もあります。

有痛性外脛骨

症状・原因

有痛性外脛骨とは、足の内側のアーチの中央部分が膨らんでおり痛みが発生するものです。思春期の女性や激しいスポーツを行う人、10歳ごろの若年層に多い病気です。捻挫や走るスポーツで後脛骨筋腱の引っ張る作用により炎症を起こすと痛みが出現します。腫れと共に赤みが出ることもあり、膨らんだ部分を押すと痛みが出ます。また、つま先立ちをすると痛む場合が多いです。原因としては、サイズがきつめの靴を履いて行うスポーツ、体感の筋力が弱い、扁平足などが考えられます。

診断・検査

有痛性外脛骨の診断は、外脛骨を圧迫して痛みがあるかを確認します。また、併せてレントゲン検査による画像検査で診断します。

治療方法

有痛性外脛骨の治療は、軽症であれば患部の安静やリハビリにより改善することが多いですが重症の場合は痛む部分の切除といった手術を行う場合もあります。

シンスプリント脛骨過労性骨膜炎けいこつかろうせいこつまくえん

症状・原因

シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)とは、足のつま先を上げる際に使う筋肉を使いすぎることによって、筋肉に付着している骨膜に炎症が起こり、痛みが発生する病気です。
硬い地面で繰り返しスポーツを行ったり、ハードなトレーニングを短期間で行った際に多くみられます。また、合わない靴や筋肉の柔軟性の低下なども原因の一つです。

診断・検査

シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の診断は、症状の度合いによって診断されます。症状の分類は以下の通りです。

  • Ⅰ度:運動時にのみ痛みを感じる。
  • Ⅱ度:運動の前後にうずくような痛み(疼痛(とうつう))があるが運動には支障がない。
  • Ⅲ度:運動中や後に疼痛があり、運動に支障がある。
  • Ⅳ度:疼痛が強く運動ができない。

治療方法

シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の治療は、上記の度合によって変わってきます。軽度の場合は運動を中止し安静にすることで自然に治癒する場合もありますが、難治性の場合もあります。その際は、レントゲン検査により疲労骨折を起こしていないか確認します。

シーバー病踵骨骨端症しょうこつこったんしょう

症状・原因

シーバー病(踵骨骨端症)とは、かかとの骨の端骨(踵骨骨端核)がはがれたり、それより少し前の踵骨軟骨に炎症が起こっている状態です。10歳前後の成長期である男の子に発症しやすく、かかとに痛みや腫れが起こる病気です。症状の軽いうちは、運動時の軽い痛みが症状として出ますが、進行するとかかとをつくと痛むためつま先立ちが多くなります。

診断・検査

シーバー病(踵骨骨端症)の診断は、症状の問診とレントゲン検査による画像確認で診断されます。

治療方法

シーバー病(踵骨骨端症)の治療は、軽度の場合は保存治療が中心となります。シーバー病はスポーツ障害の一種なので、実施しているスポーツを中止したり患部を安静にすることが有効です。ストレッチ、アイシング、サポーターで治療します。たいていの場合は1~2か月の安静でスポーツへの復帰が可能となります。