ロコモティブシンドロームとは
ロコモティブシンドローム(ロコモ、あるいは運動器症候群)は、運動器の障害により身体の移動機能が低下した状態を指します。この症状が進行すると、将来的に介護が必要になるリスクが高まります。ロコモ度テストによる住民調査では、ロコモと判定される人は約4590万人に上ると推定されています。重要なのは、日常生活に支障がなくても、ロコモになっているケースが多いことです。予防や進行を抑え、健康寿命を延ばすためには、早期の対策が不可欠です。
ロコモティブシンドロームの症状
ロコモティブシンドロームの症状は、少しの段差でつまずいたり、下半身の筋力の衰えや関節の痛みが現れます。
以下は、ロコモチェックのポイントです。
- 片脚立ちで靴下がはけない
- 家の中でつまずいたり滑ったりする
- 階段を上るのに手すりが必要
- 家事が困難(例: 布団の上げ下ろし)
- 2kgの買い物を持ち帰るのが難しい
- 15分ほど歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
これらの項目のいずれか一つでも当てはまる場合、ロコモティブシンドロームの可能性があります。
まずは、医師や当院スタッフにご相談ください。
ロコモティブシンドロームの原因
超高齢化社会において、平均寿命の延長に伴い、運動器の障害がほぼ全員に生じる可能性があります。主な原因は以下の病気です。
- 骨粗しょう症に伴う骨折
- 変形性関節症、変形性脊椎症による軟骨や椎間板の変性
- 脊柱管狭窄による神経障害や筋力低下によるサルコペニア(※)
これらの疾患の患者数は膨大であり、一つだけでなく複数の病気を抱える患者さんも多いです。
※主に加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下し、身体能力が低下した状態
ロコモティブシンドロームの治療・予防
ロコモティブシンドロームの原因として、
- 運動不足
- やせ過ぎや肥満
- スポーツの過剰
などが挙げられます。
年齢に関係なく、運動習慣を身につけたり、生活習慣を見直したりすることが重要です。
当院では医師の指示に基づき、理学療法士がロコモーショントレーニング(ロコトレ)の指導や筋力トレーニング機器を用いた訓練などを通じて予防や治療を行います。ロコトレは個々のレベルに合わせて行われ、足腰の筋力強化、バランス力の向上、膝や腰への負担の軽減を目的としています。具体的なトレーニング方法として、片脚立ちやスクワットが挙げられます。
片脚立ち
左右1分ずつ、1日3回を目安に行います。
※姿勢をまっすぐに保ち、支えが必要な場合は十分な注意を払いましょう。
スクワット
深呼吸をしながら5~6回繰り返し、1日3回を目安に行います。
※正しいフォームと無理なく行うことが重要です。
これらのトレーニングを通じて、ロコモティブシンドロームの予防や改善に取り組んでいきましょう。