肩こり
症状・原因
肩こりとは、私たちが日常生活で自覚している症状のなかで女性で1位、男性では2位になっているほど多くの方が抱えているものです。首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張る、凝る、痛みなどの症状があります。頭は5~6キロもの重さがあり、重い頭を支えているのが首と肩です。欧米人に比べ日本人は頭が大きいわりに首から肩の骨格や筋肉が華奢なため、肩こりを起こしやすいといわれています。
原因として多いのは以下4つです。
- 同じ姿勢
- 眼精疲労
- 運動不足
- ストレス
診断・検査
肩こりの診断は、問診や触診で行い必要により、レントゲン撮影の検査を行います。
治療方法
肩こりは予防が重要です。同じ姿勢を長時間続けないことや適度な運動・体操を心がけましょう。蒸しタオルや入浴で体を温めることも有効です。治療方法としては、マッサージ療法や温熱療法、運動療法(筋力強化)に加え、薬物療法(痛み止め、シップ薬、筋弛緩薬、局所注射など)などを行います。
五十肩(肩関節周囲炎)
症状・原因
五十肩(肩関節周辺炎)とは、中年以降、特に50歳代に多くみられ、肩関節の痛みがあり、腕を挙げられない、後方に回せないなどの症状があるものです。着替えが難しくなったり、夜中にズキズキ痛み、ときには眠れないほどになることもあります。関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化に伴い炎症を起こして肩関節の周辺組織に痛みが広がることが主な原因と考えられています。
診断・検査
五十肩(肩関節周囲炎)とは、レントゲン検査などで他の疾患(腱板断裂、変形性関節症、骨折など)を除外していき最終的に五十肩(肩関節周囲炎)と診断される疾病です。検査では肩関節周囲炎ではない病気を見つけることが重要なため、画像検査としてレントゲン検査、MRI等を行う可能性があります。
治療方法
五十肩(肩関節周囲炎)の治療は、まず保存的治療として薬物療法(痛み止め、シップ薬など)、関節内注射、リハビリテーションが行われ、それでも改善が認められない場合には手術が必要となる事もあります。
肩腱板損傷
症状・原因
肩腱板損傷(かたけんばんそんしょう)とは、肩のインナーマッスルである腱板が、転んだり肩を打ったり加齢などで切れてしまうことを言います。肩の表面は三角筋という大きな筋肉で覆われており、その下の層には、体幹から上腕骨頭を取り囲む腱の複合体がみられます。これを腱板といいます。大きな筋肉と腱板が協調することで関節を安定させることができていますが、腱板が切れると安定性が失われ、肩を挙げることができなくなったり、痛みの原因となります。腱板損傷は痛みが強く、夜寝ているときに痛みで起きてしまうこともあります。また、時に自力では腕が挙がらないうえに、支えられた手を離すと上腕が落ちてしまうこともあります。
診断・検査
肩腱板損傷(かたけんばんそんしょう)の検査では、まず肩の痛みの場所や症状、どのような動きで痛みを感じるのか確認します。画像検査としてレントゲン検査、MRIなどが必要となります。
治療方法
肩腱板損傷(かたけんばんそんしょう)の治療では、まず保存的治療として薬物療法(痛み止め、シップ薬など)、関節内注射、リハビリテーションが行われ、それでも改善が認められない場合には手術が必要となります。損傷が広範囲の場合は早期より手術が必要となる事もあります。
石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)
症状・原因
石灰沈着性腱板炎とは、肩の内部にある筋肉が骨につくところ(腱板)に、石灰(カルシウムの結晶)がたまることで起きる疾患です。原因不明で、痛みや肩の動かしにくさを引き起こしますが、多くの場合は自然に症状が落ち着いてくる疾患です。肩をよく動かす労働や運動との関連は認められておらず、使い過ぎが直接的な原因ではないとされています。症状は急激に痛みが出るようなものと日常の動作で違和感がある程度の慢性的なものがあります。
診断・検査
石灰沈着性腱板炎の方は、きっかけのない痛みが肩の上から外側にかけて発生し夜間では眠れないほどの痛みになることがあります。そのような症状があるかを聞いた後に、レントゲン検査などによって石灰が見つかった場合は石灰沈着性腱板炎と診断されます。
治療方法
石灰沈着性腱板炎の治療は、胃薬(H2受容体拮抗薬)が石灰化の吸収を促進されるため、痛み止めやシップ薬と共に処方します。またステロイド剤の注射も効果的なことが多く、それらの治療でも痛みが引かない場合は石灰の吸引や洗浄が行われます。快方に向かわない場合は石灰除去手術が行われる場合もあります。
反復性肩関節脱臼
症状・原因
反復性肩関節脱臼とは、肩の脱臼が繰り返し起きやすくなっている状態のことを言います。肩の脱臼はラグビー、アメフト、柔道などのコンタクトスポーツに多いけがです。一度大きなけがで脱臼した際に靭帯が緩んでしまい、正しく機能しなくなることで小さな力でも肩が外れやすい状態が続いてしまいます。脱臼を繰り返すたびに小さな力でも起こるようになり、ひどい場合はくしゃみなどでも脱臼が起こるようになります。
診断・検査
反復性肩関節脱臼は、脱臼を繰り返している場合に診断されます。レントゲン、CT、MRIによる画像検査によっても診断することが可能です。画像では骨や靭帯の損傷を確認することができます。
治療方法
反復性肩関節脱臼は、肩を固定してもその後の脱臼を防ぐことは難しいとされており、リハビリテーションでも同様に根治は難しいと考えられています。しかし、手術を行うことによって靭帯の損傷を修復するなどの方法で根治させることができます。反復性肩関節脱臼を放置すると脱臼を繰り返し神経損傷や血管損傷のリスクが高まるため早めの治療が重要です。
インピンジメント症候群
症状・原因
インピンジメント症候群とは、肩を上げていくとき、ある角度で痛みや引っかかりを感じ、それ以上に挙上できなくなる症状の総称です。また、インピンジメント(impingement)とは衝突する、突き当たるという意味です。肩関節付近では、骨同士の隙間が狭いため、こすれやすい構造になっています。過労や疲労、姿勢の影響で肩の骨や筋肉の連携が取れなくなってくると衝突が起こり痛みや出血を起こします。肩の動きに制限がかかるというよりは動くけれどもいたいという症状が特徴的です。
診断・検査
インピンジメント症候群は、レントゲンやMRIといった画像検査で決め手になるような特徴がないため、他の疾患ではないことを確かめることで診断されます。似たような症状の疾患には、腱板断裂・五十肩・石灰沈着性腱板性があります。
治療方法
インピンジメント症候群は、まず保存的治療として薬物療法(痛み止め、シップ薬など)、リハビリテーションが行われます。また、関節注射で症状を緩和させたりします。それでも痛みが引かない場合は手術が必要になります。
リトルリーグショルダー(上腕骨近位端骨端線離開)
症状・原因
成長過程にある小学生高学年から中学生の野球選手に多く見られることから、「リトルリーグショルダー」と呼ばれます。上腕骨近位端の成長軟骨(骨端線)が繰り返しの投球動作などによって損傷した状態で、投球動作時や投球後に肩の痛み、運動をしていない時でも肩周囲を押さえると痛みを認めることもあります。
診断・検査
リトルリーグショルダーはレントゲン検査により診断します。左右比較しないと診断がつかないこともあるため、必ず両肩のレントゲン撮影を行います。
治療方法
リトルリーグショルダーは保存的治療で良くなる障害です。まずは投球禁止としその間に肩甲帯・体幹・股関節の柔軟性を獲得、フォームの改善などのリハビリテーションを行います。約1カ月の投球制限で徐々に投球再開が可能となり、約2~3カ月で復帰できることが多いです。